第105回九州EC勉強会に参加して参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

第105回九州EC勉強会に参加して参りました。

九州EC勉強会に久しぶりに参加することが出来ました。九州EC(九州ECミーティング)は、経営者・ECに取り組む方々が幹事となり、事業運営に役立つ情報交換・提供を行う会です。2005年1月に「九州でも東京並みの情報が得られる場」を目的に結成され、現在も完全ボランティアで続いている、稀有な勉強会組織です。わたしも過去に数年間、幹事の一人として微力ながらお手伝いをいたしました。

住太陽氏 2023年のE-E-A-T攻略 〜商人が持つ「経験・専門性・権威性・信頼性」をお客さまとGoogleに伝える

講師の住太陽さんは、これまでにもタイミングごとに九州ECで講師をして下さり、その都度、最新の情報と考察を惜しげもなく公開してくださるすごい方。今回もまた、ウェブコンサルタントとしての最前線の動きと、今後の予測、事業者がなすべき対応を、かみ砕いて解説してくださいました。

住さんの講演で毎回有難いと感じるのは、あくまでも「中小企業の経営者」という目線を外さずにレクチャーしてくださることと、複雑に聞こえがちなEC(あるいはより広くIT)業界の先端の概念を、できるだけ平易に伝えようとしてくださること。おかげさまで取り残され感を持つことなく、自分の仕事に反映すべきこと、自分でできることをしっかり持ち帰ることが出来ます。

以下、備忘。


  • 経験E xperience・専門性 Expertise・権威性 Authoritativeness・信頼性 Trustworthiness
  • Experience・Expertise=自社評価(自社メディア)
  • Authoritativeness=他者評価(外部メディア)
  • ➜ Trustworthiness
  • 外部からの言及をいかに引き出すか。
  • エンティティ=単なる文字列ではなく、実体としての事物・概念
  • Earned media(第三者による露出)
  • 自社メディアでやるべきことは、経験と専門性を表現すること。
  • 検索意図とエンティティの一致を目指す=ブランディング。
  • ブログ著者はバイライン(署名欄)を明確に。
  • 経験と専門性➜市場からの信頼。
  • 社長名>会社名
  • 信頼できる文章(あるいは写真・動画)の発信者となる。

第105回九州EC勉強会 住太陽氏 2023年のE-E-A-T攻略 〜商人が持つ「経験・専門性・権威性・信頼性」をお客さまとGoogleに伝える より


「エンティティ」の概念を知ることが出来たのが、わたしにとっては今回のセミナーでの一番の収穫でした。日ごろ仕事をしながらなんとなく感じていた変化を、きっちりを言語化していただいた感じで、すっきり。IT活用における変化のスピードがあまりにも速くて、目をつむりたくなることも多々ありますが(笑)、こうして専門家のお話を聞く機会はやっぱり必要ですね。

今回の九州EC勉強会も、わたしにとって救済的な回となりました。次回九州EC勉強会は2023年10月21日(土)予定。毎回素晴らしい機会を提供してくださる九州EC幹事の皆さまに、心より感謝です。次回も楽しみにしています。

読書『雲を紡ぐ』(文藝春秋)、『犬がいた季節』(双葉社) 伊吹有喜 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『雲を紡ぐ』(文藝春秋)『犬がいた季節』(双葉社) 伊吹有喜 著

大量に本を読んでいる友人の存在はとてもありがたく、そういう師匠的な友人が何人も周りにいる…と書いたのは、つい先日のことでしたが、本日ご紹介する2冊、著者の伊吹有喜さんもそんなお友だちから教えていただいたのでした。伊吹有喜さんのことは存じませんでしたので、初読み♪

読みはじめてすぐに、どうにも時代背景の描き方に親近感があり著者紹介を探したところ、道理で生まれ年が一緒でした。舞台となる地域については、これまでに縁の無いところばかりでしたので、新鮮な気持ちで読みつつも、同時代の親近感というのは濃いものですね。

『雲を紡ぐ』でも『犬がいた季節』でも、高校生から大人へと成長していく道のりでの葛藤が、登場人物を通して描かれています。その一方で、『雲を紡ぐ』では伝統工芸の手仕事、『犬がいた季節』では美術が、大切な要素として物語を支えていました。著者自身の趣味・興味として、伝統工芸文化や美術があるのでしょうね。そんなところにも、わたしが読みながら親近感を持った理由があったのかもしれません。

いずれのストーリーも、学校の問題、進路の問題、家庭の問題など、登場人物たちはそれぞれにシビアな現実を抱えています。それにもかかわらず、ストーリーは最初から最後までやさしい雰囲気に包まれていると感じました。具体的に説明するのは難しいのですが、あたたかいというよりは、やわらかい感じ。

読む人が自分の高校生時代から社会人に至るまでの来し方を考えたときに、人によっては大きく共感して切ない気持ちがこみ上げるのかもしれません。残念ながらわたしには共感できるストーリーがありませんでしたが、それでも読んでやさしい気持ちになることが出来ました。ふだん自分が選んで読んでいた小説は、どちらかというと攻撃的な空気感を持ったものが多かったのかもしれないと、気づかされた読書でした。

こういう発見があるから、お友だちからのおススメはありがたいです。やさしい気持ちになりたい人、特に50代あたりの皆さまにおススメです。伊吹有喜さん、同世代の作家さんですので、これからも緩やかに追っかけてみたいと思います♪

読書『美術の力 表現の原点を辿る』(光文社新書)宮下喜久朗著

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読書『美術の力 表現の原点を辿る』(光文社新書)宮下喜久朗著

同著者の『名画の生まれるとき 美術の力II』がとても良かったので、遡って最初の『美術の力』である本書をゲット。こちらもまたわたし的には、大量の名言に出会えた良書でした。頭のなかでもやもやと感じていたことを、明瞭に言語化していただいた、と思える言葉がたくさんでした。

以下、要点整理&備忘


  • 場所の持っている力、いわゆるゲニウス・ロキ
  • 美術作品も、それが位置する場所の力と相まってオーラをまとう
  • 自社でも美術館でも、その作品が本来置かれてきた場こそが作品に生命力を与える
  • 印象に残った作品は必ず場所の記憶と一体になっている
  • 作品の前に実際に立ってみなければわからない魅力
  • どんな地域でもその自然環境と美術とは関係がある
  • 自娯
  • 売るためであろうが自誤のためであろうが、作品がすばらしければ十分であり、作者の意図や制作の事情など関係ない。
  • およそ芸術作品というものは、作者の手から離れた途端、一人歩きを始めて何百年も生き残るのであり、作者というちっぽけな存在に拘束されるものではない。
  • 西洋美術は基本的に公共性を帯びていた。(中略)19世紀以降、西洋で美術館という制度が成立して広く普及したのは、美術が本来このような公共性を持っていたためである。
  • 一方、日本美術は仏像や絵馬を除き、私的な性格が強かった。
  • これはカラスの値段ではなく、長年の画技修行の価なのだ
  • 長年培ってきた自らの技術に関しては絶対の自信を持っていたのである。
  • 古今の名画を模写する経験は、子どもの技術や鑑賞眼を養うことにもなる。
  • 書道と同じく、手本から入らなければ技術も習得できず、自分の様式も確立できない。創造や個性はいつも模倣から生まれるのだ。
  • 個性ばかりを尊重すれば、学ぶことを軽視しがちとなる。
  • 日本の美術環境には、こうした技術軽視と知識軽視の伝統が息づいており、それが日本の現代美術がふるわない要因になっている
  • 美術は、国家や社会の転換に関わらず、どんな時代にもしたたかに存続するもの
  • 美術というものは古今東西を問わず、どんな天才的作品でも必ず過去の作品と密接な関係をもっており、時間と空間の制約のなかからしか生まれないものであって、芸術家の天分や創意工夫などといったものはごくわずかな要素に過ぎないのだ。
  • 一種のオーラというか、愛蔵していた人たちの眼差しや執着までもが張り付いているように感じられる
  • 美術は政治や経済などよりも雄弁にその国の歴史や意義を物語る
  • どんな宗教でも、進行を維持するための物体を必要とする。
  • 信仰の拠り所として形あるものを求め、そこに生命を見出す心性は、(中略)そもそも人間の造形本能の根本であり、美術を生み出す原動力となっている
  • モダニズムが忘れてしまった「場」の力

『美術の力 表現の原点を辿る』(光文社新書)宮下喜久朗 より


7月は博多阪急3F特別室にて「藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画」。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

7月は博多阪急3F特別室にて「藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画」。

昨年に引き続き博多阪急さんで、花祭窯のある福津市の地域イベント「ふくつのね」開催が決まりました。花祭窯も参加いたします。今年は阪急さんが藤吉憲典のために「特別室」をご用意くださいました。地元福岡でまとまった数の作品をご覧いただき、お買い求めいただける初めての機会となります。ぜひお越しくださいませ。

藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画

会期:7月19日(水)~7月25日(火)
時間:10時~20時(最終日のみ17時閉場)
場所:博多阪急3F特別室
https://www.hankyu-dept.co.jp/hakata/

藤吉憲典個展 博多阪急

博多阪急 藤吉憲典個展

やっとこさ、森美術館@六本木ヒルズに行って参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

やっとこさ、森美術館@六本木ヒルズに行って参りました。

出張時の楽しみのひとつは、隙間時間に美術館に足を運ぶこと。ギャラリーのオープンは11時だったり12時だったりすることがほとんどなので、10時から開いている美術館が近くにあれば、1時間ほどを鑑賞にあてることが出来ます。

西麻布の桃居さんからの近隣には、根津美術館、国立新美術館、サントリー美術館、森美術館などがあります。根津美術館に行きたかったのですが、時間の作れた月曜は休館日。このところ足の向いていたサントリー美術館は、展示入れ替え中で休館。ということで、六本木ヒルズにある森美術館に足を運んでまいりました。

開催中の企画展タイトルは「森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム」。六本木ヒルズが出来て20年ってこと!?と驚愕しつつ(笑)。六本木ヒルズが出来て、桃居さんでの個展のついでに足を運んでお茶を飲みに行ったことはありましたが、森美術館まで上ったことは無かったのでした。展覧会会期以外は閉館しているので、タイミングが合わなかったこともありますが、いわゆる現代アートの展覧会なので、展示内容にあまり食指が動かなかったのも事実です。

それでもやはり、日本の現代アートシーンを引っ張る美術館ですし、SNSを使った集客などマーケティング面で学ぶことは多く、日本の現代アート市場の今を知るためにも一度は観に行かねば!という気持ちはずっとありました。というわけで、20年越しの訪問。

展示内容については、思った通り、わたし個人的にはあまり興味の沸くものではありませんでした。これが現代アートの主流だというのなら、わたしたちが目指すのは、やはりまったく別の道なのだと再確認。ただそんななかでも、森村泰昌の大型作品を観ることが出来たのは、思いがけない収穫でした。

過去の名作をパロディにした発想の大胆さとブラックユーモアが大好きで、いつかはほんものを生で観たいと、常々思っていました。昨年京セラ美術館で開催されていた森村泰昌の展覧会に、足を運べたらよかったのですが、行けずに残念に思っていたところでしたので、これはラッキーでした。

また作品ではありませんが、上の写真「数字で見る森美術館の20年」を見ると、一つ一つの数字から分かること学ぶことがいろいろとありました。こういうところに、展覧会を担当するキュレーターさんの力を感じます。やはり日本における現代アートと、社会施設としての美術館の役割を先進的に開いてきた館ですね。次回わたしがここに来るのは果たして何年後(何十年後!?)になるかしら、と思いつつ。

西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展、ご来場&オンラインでのご参加、誠にありがとうございました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展、ご来場&オンラインでのご参加、誠にありがとうございました!

会期最終日にかけて二日間、桃居さんにわたし・ふじゆりも在廊してまいりました。藤吉の個展の際には、作家本人が在廊日を設けるのはもちろんのこと、わたしもできるだけギャラリーにおじゃまするようにしています。ここ何回か、桃居さんでの個展のタイミングで伺うことが出来ずにおりましたが、今回久しぶりに在廊することが出来ました。

まずは会期中に桃居さんにご来場くださいました皆さま、オンラインでご参加くださいました皆さま、誠にありがとうございました。おかげさまで、無事会期を終了いたしました。今回は「酒器」に絞り込んでいましたので、偏った品揃えとなりましたが、そのかたよりのなかだからこそ、より際立った藤吉憲典の世界観を楽しんでいただけたのではないかと思います。

わたしがおじゃました会期終盤は、お客さまのペースもゆっくりです。おかげさまで、桃居さんの常連さんと、たくさんお話することが出来ました。わたしの勝手な印象ではありますが、桃居さんにいらっしゃるお客さまは、老若男女によらず自分自身の確固たる美意識をお持ちの方が多く、お話をしていてとても深く楽しいのです。これは、オーナー広瀬さんのお人柄によるものと思われます。

二日間だけの滞在ではありましたが、器の話、伝統工芸の話、美術の話はもちろん、そこから広がる経済の話、政治の話、生き方、宗教観、社会課題とさまざまな話題を共有することが出来ました。皆さんのお仕事や専門分野のお話を伺うのも、世界が広がり勉強になります。「藤吉憲典陶展」に足を運んでくださった方々と、そのようなお話が出来るのは、とてもありがたいことです。広瀬さんが桃居さんをオープンなさって36年ということで、これまでに培ってこられてものの大きさを、あらためて感じた滞在となりました。

桃居さんでの藤吉憲典の個展は、また二年後の予定です。次回はどのような展示になるのか、楽しみにしていただけると幸いです。

東京土産といえば、舟和の芋ようかん。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

東京土産といえば、舟和の芋ようかん。

上の写真は、あんこ玉ですが。

ふだん東京出張時には、ダンナもわたしもお土産を買ってくるという頭が、ほとんどありません。ところがコロナ禍以降「地域クーポン」的なものが配られるようになり、それを無駄なく使いたいがために「帰りに空港であわてて使い切る=お土産購入」というパターンが発生するようになりました。

でも、お土産を買い慣れていないうえに急がねばと焦っていると、選択を誤りがちになりますよね。せっかく同じ金額使うなら、もっといい選択があっただろうに~!という、お土産あるある、です。そのようなことが何回かあって、「羽田でお土産を買うならば舟和の芋ようかん一択!」ルールが藤吉家にはできました。

舟和の芋ようかんが昔から大好きです。シンプルな材料で作られた、シンプルなおいしさ。一口食べればとっても幸せになります。昔から羽田でたまに買っていました。日持ちがしない(そこがまた良い!)ので、食べきれるように小さめの紙箱に芋ようかんが6本入ったものが定番です。そのうちに「あんこ玉」の存在に気がつき、気持ちに余裕があるときは「芋ようかん+あんこ玉」の詰め合わせで贅沢を。お芋の黄色と、つやつやと色とりどりのあんこ玉の組み合わせは、味だけでなく見た目もとっても幸せな感じがします。

今回桃居さんでの個展帰りにダンナが買って来てくれたのが、舟和の芋ようかんとあんこ玉の詰め合わせ。しかも大きな紙箱で。聞けば、宿泊先でいただいた地域クーポンを使う機会がまったく無く、全額舟和につぎ込んだということ。素晴らしい選択です。

というわけで、冷蔵庫には芋ようかんとあんこ玉の、幸せな昼下がりです^^

今年も学芸員研修会が開催されます。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今年も学芸員研修会が開催されます。

九州産業大学の緒方泉教授が事務局を務める学芸員研修会が、今年度も開催されるとご連絡いただきました。2013年に博物館学芸員資格課程を修了し、2016年度の研修に初めて参加してから、もう8年目になります。当時(今もですが)どこの美術館・博物館にも所属していない身で、ダメで元々と申し込んだところ、快く受け入れてくださったのが最初のご縁でした。上の写真は、一連の学芸員研修会のなかで、最もインパクトを受けた出会いとなった、日本での美術教育(アートエデュケーション)の第一人者・齋先生の講座での成果物。

コロナ禍下ではオンラインでの「語り場」形式での研修もスタートし、オンラインとオフラインの両方で研修を継続してくださったのは、ほんとうにありがたいことでした。今年も両方での開催です。

  • 博物館を活用した「健康寿命」増進プログラム開発のための学芸員研修会
  • 博物館リンクワーカー人材養成講座 オンライン語り場「地域住民の健康を支える方法を考える」

各研修会の詳細・最新情報は、九州産業大学美術館ホームページの「お知らせ」からご覧いただくことが出来ます。研修会への参加対象は、博物館関係者、医療・福祉従事者、大学教員、学芸員有資格者、博物館学を学ぶ学生等となっています。美術(館)と健康・福祉のかかわりに関心のある方におすすめです。

↓これまでにわたしが参加した研修の様子は、こちらでご覧いただくことが出来ます↓
ふじゆりスタイル 学芸員研修

「藤吉憲典 陶展」で、ぜひ書画も楽しんでください。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「藤吉憲典 陶展」で、ぜひ書画も楽しんでください。

西麻布桃居さんで開催中の「藤吉憲典陶展」今回は書画を10点以上お持ちしています。

藤吉憲典の書画は、どこかにありそうな「手先の器用な陶芸家が、ちょっと書画も描いてみました」というのとは、根本的に異なるということを、ここで説明しておきたいと思います。もともと幼少期から書家のお父さんに猛特訓を受けたキャリアの持ち主なのです。

「絵」に進むために「書」を継がずに歩んで来た藤吉憲典が、最初は「デザイン」を糧とし、その後肥前磁器と出会って「陶芸」の道に進み、陶芸家となったわけですが、その間もずっと「書」はあたりまえのように生活のなかにありました。そして陶芸家としての道も四半世紀を過ぎたときに、ようやく自らのベースにある「書」を作品として表舞台に出そうと思えるようになったのです。

書画の作品としてのアウトプットは、昨年からスタートしたばかりですが、そこには、これまでのあらゆるキャリアが詰まっています。お父さんから書道を習い始めてからの道のり、グラフィックデザイナーとしてのキャリア、その上に陶芸家としての25年以上があるからこそ、書く(描く)ことが出来る作品の数々です。

今回の個展に対して、桃居オーナーの広瀬さんの評価が、とても嬉しいものでした。

“天性の「描く人」、描くことに憑かれた人、が藤吉憲典さんです。
今回は「描かねばいられぬ人」藤吉さんの資質とその才能が全開となった展示となりました。
令和の「画狂人・藤吉憲典」の描写の妙にご注目ください。” 
(桃居インスタグラムより)

その片鱗の一部をご紹介しますね♪

藤吉憲典画 獣面芙蓉手

藤吉憲典画 馬

藤吉憲典画 昇龍

藤吉憲典画 牡丹唐草

ぜひ現物を会場でご覧いただけると嬉しいです。

桃居 藤吉憲典 陶展
2023年6月21日(水)~6月26日(月)
11:00~18:00 (最終日は17:00まで)
東京都港区西麻布2-25-13
TEL03-3797-4494

6月22日の21:00以降、桃居さんの運営する「桃居オンライン」でも今回の個展に出した新作をお買い求めいただくことが出来ます。ぜひ覗いてみてくださいね。

「桃居オンライン」
藤吉憲典作品の販売期間:2023/06/22 21:00 〜 2023/06/26 16:59

「画狂人」って、もともとは誰のことなのかしらと思ったら。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「画狂人」って、もともとは誰のことなのかしらと思ったら。

連日の告知ブログ。夏至の本日6月21日、西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展は初日を迎えます。個展の初日はいつもドキドキ。正直に言えば、初日に限ったことではありません。個展にご来場くださったお客さま方がどのような反応をなさるのか。すべての作陶に全力を傾けているからこそ、作家本人はやり切った感があり「あとは天任せ」とすっきりしたものですが、サポーターたるわたしとしては、お一人でも多くの方にご覧いただきたいので、最終日までジタバタし続けます。

桃居オーナー広瀬さんが書いてくださった紹介文に、“令和の「画狂人・藤吉憲典」”というくだりがありました。「画狂人」という表現が新鮮だったので調べてみたところ、宮本亜門さん監督で葛飾北斎を主人公にした舞台『画狂人・北斎』のタイトルに元があることがわかりました。舞台のポスターに見る俳優・西岡徳馬さんの表情に凄みがあります。狂人のイメージって、こんなふうなのですね。

紀伊國屋ホールのサイトにある『画狂人・北斎』の宣伝文を読めば、「他人を顧みず、自分勝手に画に向き合い、狂ったように画を描き続けた生き様」とあり、藤吉憲典は似たようなところはあってもそこまで過剰ではないかな、と。ただ「そこら辺にいる変なおっさん」というところは、そのまま地を行っているという確信があります。工房のある津屋崎の方々は、皆さんきっとそう(=そこら辺にいる変なおっさん、だと)思っておられることでしょう。

そういえば九州国立博物館での『北斎展』を観に行ったのは、約1年前のことでした。そのときにわたしが一番良かったと感じたのは、「日新除魔図(にっしんじょまず)」という200枚超の連作。サラッと描いた(ように見える)スケッチだからこそ滲み出るセンスに目を見張ったのでした。「ように見える」というのは、ふだん実際に絵をつける作家の様子を見ているからこそ実感できることです。描きだすと迷いがありませんので、サラッと描いているように見えますが、実は最初の一筆に入る前に、ものすごい量のシミュレーションが、作家の脳内でなされているのです。意識的にも無意識的にも、すごい量のシミュレーションが行われているのだろうな、と見ていてわかります。それは、やきもの(磁器作品)においても、書画(水墨画)においても同様。

それにしても、今回広瀬さんがそのように評価してくださるまで「画狂人」という表現を知りませんでした。お墨付きを得ましたので、これからは藤吉憲典の創作活動における一面を現す言葉として、使っていきたいと思います^^