美術館・ギャラリーの存在について考える本。

こんにちは。花祭窯専属キュレーター・ふじゆりです。

このところ、美術館・博物館・ギャラリーなどの文化・文化施設が果たす社会的な役割について
考察する手引きとなる本を読むことがまた増えてきています。

単純に個人的にそういう場所が好きである、ということが一番の理由ではありますが、
仕事上かかわりが深い場所だからこそ、この分野の本が定期的にマイブームとなります。

これまでに読んだものでは
デービット・アトキンソン著の「新・観光立国論」
慶応義塾大学SFC研究所場づくりマーケティング・コンソーシアムによる「地域を変えるミュージアム」
などがありました。

そして一番最近読んだのが、これ「THE CURATOR’S HANDBOOK」。

美術館やギャラリーでの展覧会をつくりあげる仕事、それに携わる人について書かれた一冊です。

普段、当たり前のように楽しんでいる展覧会が出来上がるまでの、
キュレーターと呼ばれる人たちの仕事のありよう、あるべき姿が読み取れる本です。

その道のプロの、光るセリフが随所に取り上げられていました。
なかでも、わたしがもっとも嬉しかったのが、こちら。

THE CURATOR'S HANDBOOK

「美術館・博物館は、人々が訪れるべきだと思う場所
―人生で行くべき場所のひとつ。または客人とともに訪れる儀式的な巡礼の目的地―
であるだけでなく、自由に時間を過ごす場所でなければならない。」
(「THE CURATOR’S HANDBOOK」より)

「べき」とか「でなければならない」という言葉の硬さはさておき、わたしも
美術館・博物館・ギャラリーその他、あらゆる文化施設=アートのある場所は、
誰もが人生のなかで普通に訪問して、感性の赴くままに自由に楽しめる場所だと思うのです。

日本では、特に特別展などは入場料が高いこともありますが、
ギャラリーは基本的には無料で入ることができるのが普通ですし、
多くの公的な美術館でも、常設展示は安価に、または無料で見ることができる場所も増えてきています。

より多くの人にとって、美術館やギャラリーに行くことは特別なことではなく、
日常的に自由な時間を過ごせる場所になると、すてきだな、と思うのです。