アジ美でゆっくり。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

アジ美でゆっくり。

アジ美こと福岡市博多にある「福岡アジア美術館」にふらりとお出かけしてきました。観たい展覧会があったわけではなく、近くでの用事に少し時間があったので、時間つぶし(^^)

久しぶりに「アジアギャラリー」の常設展示(コレクション展)を見て、図書コーナーで本を物色し、カフェで一休み。図書コーナーは「福岡アジア美術館」のテーマに沿った本がたくさんあります。

図書コーナーからカフェにかけて、フロアは広々と連動しており、カフェコーナーにはテーブルと椅子がたくさん。窓が大きく明るいスペースです。カフェメニューは、軽食・飲み物・スイーツがあり、ちょうどお昼時でしたので、ランチをいただきました。

が、実はここのすごいところは、メニューを注文しなくても使えるというところ。窓際の席でゆっくり座って本を読むこともできるし、8~10人ぐらい座れそうな大きめのテーブル席では、ちょっとした打ち合わせもできます。もちろん、カフェ利用のお客さまが多いときには、心遣いが必要ですが。

わたしにとって「本とカフェ」の貴重な博多の穴場スポットです。

ウィーン・モダン@国立新美術館

こんにちは、花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ウィーン・モダン@国立新美術館

西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展に在廊してきたついでに、国立新美術館へ。このところ、出張のタイミングで隙間時間を見つけては「ふらりと展覧会」に足を運べるようになりました。

桃居さん界隈で徒歩圏の美術館は、森美術館(六本木ヒルズ)サントリー美術館(東京ミッドタウン)、そして国立新美術館。月曜休館の美術館が多いなか、「今日開いている!」「企画展会期中!」という条件に当てはまった国立新美術館に行って参りました。

お天気も良く、お散歩がてら15分ほど。桃居さんのオープン時間まで約1時間、しっかり観覧することができました。

正式の展覧会名は「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」。英語版の「VIENNA ON THE PATH TO MODERNISM」の方がストレートでわかりやすいタイトルだと感じましたがそれはさておき。

素晴らしかったです!

このところブログでの展覧会訪問録は「素晴らしかった!」と書いていることが多く、何を観ても「素晴らしい」と言っていると思われるのではないかと危惧しつつ(笑)。実のところ、展覧会の感想は毒を吐くことも多いのですが、このところは「ちょうど自分の関心が向いているもの」を「秀逸な展示で見ることができる」ラッキー♪が続いています。

絵画だけでなく、ウィーン工房の工芸品の数々や、近代建築の先駆者と言われるオットー・アーグナーの設計計画図面、模型なども多数展示してありました。「分離派(セセッション)」の時代であり、これはつい先日の「世界史を建築家の視点で学ぶ アールヌーボー」で学んだばかりだったので「なんとタイムリー!」と一人で大満足。

クリムトの絵も好きですが、今回わたしがもっとも気に入ったのは、エゴン・シーレの「ひまわり」でした。1本すっくとした立ち姿の、華やかでない存在感に惹きつけられました。そして同行した中学生の息子を感動させたのは、「音楽の教科書に載っているシューベルトの肖像画」。

美術展では「自分のペースで勝手に見る」のが習いの藤吉家。今回もさっさと歩きだした息子がしばらくして興奮した様子で戻ってきて、「ほんもの?ほんものよね!」と腕を引っ張るので何かと思えば、お馴染みのシューベルトの肖像画の「ほんもの」でした。ついでにメガネの実物も。

「帰ったら音楽の先生に報告しなくっちゃ!」と大喜びの息子。こういう発見があるから、やっぱり本物を観に行くのはいいですね♪わたし個人的には、もっとゆっくりできるときに、3階にあるという美術図書館に行ってみなくちゃ!と思いつつ。

大満足の新国立美術館でした。「ウィーン・モダン」の会期は8月5日(月)まで。

【開催報告】ビジネスパーソンに必須の教養、その第一歩を美術鑑賞で@博多阪急

こんにちは。Meet Me at Art アートエデュケーターふじゆりです。

【開催報告】これからのビジネスパーソンに必須の教養、その第一歩を美術鑑賞で!@博多阪急

博多阪急さんからお声掛けいただいて実現した、ビジネスパーソン向けのセミナー。無事終了いたしました。ご来場くださいました皆さま、誠にありがとうございました。

平日昼間の開催とあって、夜なら行けるのに!週末なら行けるのに!というビジネスパーソンの皆さんからご意見をいただいておりました。確かに、多くのビジネスパーソンは仕事中の時間帯。また別の機会に、週末または夕方以降の開催を企もうと思います。

45分という短い時間。「アート×ビジネス」の昨今の流れを知っていただいたうえで、対話型鑑賞(ビジュアルシンキング)も試しに体感していただきたいと欲張った結果、シミュレーションしていた以上に駆け足になってしまいました。伝えたいことがたくさんで、話が多くなってしまったのが反省点です。

百貨店という場所柄、少々気の散りやすい環境でしたが、ご参加の皆さんがワークショップにしっかり取り組んでくださっていた様子が、とても嬉しかったです。

これをきっかけに、ご参加の皆さんが美術や美術鑑賞を「自分にとって大切なもの」として感じていただけるといいな、と思いつつ。

機会をご提供くださった博多阪急さんにも、心より感謝申し上げます。

本をきっかけに。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

本をきっかけに。

好きになること・もの、ありませんか?

美術鑑賞の座学講座をするにあたって、最近わたしがよく使うのは、アンリ・ルソーの絵画なのですが、ルソーの絵に興味を持ったのは、実は小説がきっかけだったと、講座の準備をしながら思い出しました。

原田マハさんの『楽園のカンヴァス』です。この本を読んで、まず家にある画集からルソーを引っ張り出してひきこまれ、ロンドンではナショナルギャラリーで虎の絵(タイトル「Surprised!」)に釘付けになり、ルソーの「夢」を見るためだけにでもニューヨーク近代美術館MoMAに行かねば!と思っています。

小説に登場する絵や音楽は、しばしばそのストーリーとの相乗効果で強く心に響いてくると感じます。もちろん大前提として、そのもの(絵や音楽)自身の力があるからこそ、の響きなのですが。

わたしの場合、小説のおかげでルソーの絵に関心が向きました。もちろん同じ画家が描いたものでも、響くもの響かないものあります。ルソーの絵も例外ではないのですが、惹かれるものが多いと感じています。

わたしは絵を見る時に、極力文字情報を排除するのですが、文字情報のかたまりである小説から影響を受けて、好きな絵に出会うこともある。なんだか面白いなぁと思います。

西洋名画コレクション展@みぞえ画廊

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)/アートエデュケーターふじゆりです。

西洋名画コレクション展@みぞえ画廊

みぞえ画廊さん、現在本社は東京にある田園調布ギャラリーになっていますが、もともとは福岡でスタートなさっているアートギャラリーさんです。

物故巨匠から現代の作家まで扱っておられます。福岡市内にもアートギャラリーはいくつもありますが、なかでもみぞえさんは「美しいもの」を大切に扱おうという意思が強いギャラリーさんだと、勝手にわたしは感じています。延長された会期終了間際に伺うことができてラッキーでした。

よかったです!

ギャラリー空間で絵画を拝見する嬉しさは、なんといっても作品との距離の近さ。離れて見たり、最接近して見たり、角度を変えて見たり。特に気に入った絵の前で、時間の許す限りじっくり見てまいりました。

出品作家名には、ピカソ、アンリ・マティス、ジャコメッティ、シャガール、モネ、ユトリロ、カンディンスキーとそうそうたる名が並んでいましたが、個人的には、シャガールの作品四つが特に良かったです。

美術館の展覧会では無い空間で良い絵画に向き合う機会を、ここ福岡ではなかなか見つけられずにいたので、とてもありがたい時間でした。

【告知】アート×ビジネス@博多阪急

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)/アートエデュケーターふじゆりです。

【告知】アート×ビジネス@博多阪急

先日対話型鑑賞講座」を開催した朝日カルチャーセンター福岡さんからのご縁で、博多阪急さんのイベントでお話をする機会をいただきました。メンズ売り場の催事でのイベント。これからのビジネスパーソンにもアートの感性が必要だよね、ということで。

これからのビジネスパーソンに必須の教養、
その第一歩を美術鑑賞で!

時間が45分と短めなので、まずは「なぜ今アートなのか」という諸説の紹介と、諸説への理解を深めるための方法(本や講座など)の紹介、すぐにスタートできるアートとの関わり方など「概論」を中心にお話する予定です。時間に余裕がありそうだったら、ビジュアルシンキングのワークもとり入れたいところですが、さて。

博多阪急の担当者さんと「これからは絶対に必要ですよね!」と盛り上がっているこの企画。時間帯が平日昼間ではありますが、参加費無料でお得です。ぜひお気軽にお申込み下さい。

これからのビジネスパーソンに必須の教養、
その第一歩を美術鑑賞で!

「自分のこと」としてアートを考える人が一人でも増えると嬉しいな、と思いつつ。

【開催報告】福岡ACAD.「世界史を建築家の視点で学ぶ!第6回アールヌーボー」

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)/Meet Me at Artふじゆりです。

【開催報告】福岡ACAD.「世界史を建築家の視点で学ぶ!第6回アールヌーボー」

株式会社藤井設計室藤井昌宏氏を講師に迎えての「世界史を建築家の視点で学ぶ!」シリーズ第6回目は「アールヌーボー」テーマでした。前回に引き続き、講師出題による「意見交換テーマ」に沿っての講座の振り返りを採り入れ、今回も白熱した楽しい時間となりました。

個人的には、つい先日見てきた「ラファエル前派展」からつながる時代であり、絵画や家具壁紙などのデザイン製品をはじめとした展示イメージが鮮明に残っていたところでもあり、非常にタイムリーでした。

以下、キーワード備忘。


  • アール・ヌーボー=フランス語で Art nouveau=新しい芸術
  • イギリス産業革命→都市化→近代のはじまり
  • ごついもの固いものから洗練されたものへ
  • 「デザインやってますよ」の意図的アピール
  • 辰野金吾がイギリスに留学した時代
  • 植物的・生物的装飾
  • 工業化・工場主・成金
  • 個人的な感情を表現してよい時代
  • 大量生産=代替可能
  • 鉄筋、コンクリート
  • アーツアンドクラフツ運動・モリス商会・デステイル運動・バウハウス・セセッション

今回の「意見交換テーマ」は「アールヌーボーの時代を経て、20世紀のこの社会になって、わたしたちの暮らしは変わりましたか?何が変わったのでしょうか?何によって変わったのでしょうか?」というものでした。このテーマによって、これまで見てきた歴史が自分事に置き換わりました。

次回は「歴史シリーズ」の最後、「モダンスタイル」です。現代の直前ですね。これまたとっても楽しみです。

あらためて、読書『美 「見えないものをみる」ということ』(PHP新書)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

あらためて、読書『美 「見えないものをみる」ということ』(PHP新書)

先日銀座の資生堂ギャラリーで「福原信三の美意識」を意味する言葉・表現にたくさん出会いました。福原信三氏は、資生堂創業者の三男で資生堂の初代社長。資生堂文化の礎を築いたといわれる方です。わたしがその美意識に触れ影響を受けたのは、現資生堂名誉会長福原義春氏のこの著書からでしたので、あらためて本書を読み直してみました。

以下、備忘。


  • 今の世の中では、(中略)本当に美しいものが、美しいというふうに評価されているだろうか。
  • 自由に使える一日。好きな本を読む時間。美しいものに触れるひと時。
  • 文明は文化を駆逐する
  • 自然への畏敬の念
  • 文化の本質の要素には、もともと「ムダ」や「遊び」がある
  • いまの作品は、百年後、二百年後に生き残れるか
  • 寒さを寒さとして引き受けるような感性
  • 本歌取りと模倣の違い
  • 「人の型を踏むな」「芸術は無窮を追え」という(岡倉)天心の言葉
  • 五感のすべてで対象を感じる
  • 自然を魂に入れて生きる。
  • 「原典を尋ねる」
  • 複線人生
  • 自然に触れること、美に触れること、そして本物に触れること
  • 作品を買うことで、自分と作家との関係性が変わってくる
  • 自分の趣味に合うものを、その時々に使えるお金の範囲で手に入れる
  • 過去の知的資産に触れることの目的は、(中略)何よりも、未来を考えるためだ。
  • 「ものごとの真贋を見分ける目」「美しいものを美しいと感じ取る感性」を復活させる
  • 実際に見なければわからないこと
  • 芸術とは、時代ごとの文化を背景にした成果物のこと。
  • 知識イコール教養ではない
  • 一〇〇メートルをいかに速く走るかよりも、いかに美しく走るか

『美 「見えないものをみる」ということ』(PHP新書)より


このところ「アート×ビジネス」関連の書籍がたくさん出ていますが、そのいちばん最初に読んで欲しい本です。わたしにとっては、何度読んでも勇気づけられる本です。

読書『エグゼクティブは美術館に集う』(光村図書)その2

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『エグゼクティブは美術館に集う』(光村図書)奥村高明 著 その2

以下、備忘。書き留めておきたい内容のボリュームがあったので、その1(はじめに・1章~3章)と、その2(4章~)に分けてレポート。 その後半分。


  • 「一瞬でも本物の経験をするとそれまで学んだ知識が全部つながって大きく飛躍する」
  • 「対話による意味生成的な美術鑑賞」(帝京科学大学こども学部教授 上野行一氏)
  • 美術はそういう「かけがえのない自分」が成立する時間
  • 美術作品は「私」を映す鏡
  • そのとき、豊かな鑑賞経験があると、ただそこにきれいな絵がかかっているだけでは終わらない。 (帝京科学大学こども学部教授 上野行一氏)
  • 「新しい私」が生まれるためには、鑑賞の方法を知ることも必要 (帝京科学大学こども学部教授 上野行一氏)
  • 絵の中に入って、五感で鑑賞する(帝京科学大学こども学部教授 上野行一氏)
  • 風景を選び取る力、技術や物を組み合わせる力、計画する力などが統合されて一つの絵になっていく。(中略)名品はそれが高度なレベルで統合されている上に、文脈みたいなものまで背負っている
  • 「来館者を来館したときと同じ状態で帰しては意味が無い」(テート美術館の学芸員)
  • 美術館に行って、「私」の見方や考え方、「私」を取り巻く世界への理解、さらには「私」自身の在り方などに何らかの変化を及ぼすとしたら、美術鑑賞は今以上にぜいたくな時間になる
  • 美術館の最終目的は教育
  • 見る人が意味や価値をつくりだす
  • ものを思索的に見るということが大事で、それを美術鑑賞で育むことができる(帝京科学大学こども学部教授 上野行一氏)
  • 思索的にものを見るということは、思索的に世界を見ること(帝京科学大学こども学部教授 上野行一氏)
  • そんな風に美術鑑賞をすることで、厚みのある多様な考え方や見方が身に付けられる。しっかりと思索して自分で考えられる有能な自分になれる。
  • 美術は文化として生み出された数多い社会的な実践の一つ

『エグゼクティブは美術館に集う』(光村図書)奥村高明 より


読書『エグゼクティブは美術館に集う』(光村図書)その1

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『エグゼクティブは美術館に集う』(光村図書)奥村高明 著 その1

銀座に行くと、時間をみつけてはGINZA SIX内にある銀座蔦屋書店に足を運んでいます。このところ出版が増えているアート×ビジネス系の書籍をチェックするのに最適な場所です。関連書籍が増えると嬉しい一方で、自分の方向性と異なるものが増えてくるのも世の常。中身をちゃんと確認して、本書をゲットできました。

以下、備忘。書き留めておきたい内容のボリュームがあったので、その1(はじめに・1章~3章)と、その2(4章~)に分けてレポート。


  • まなざし:単にありのままを「見る」のではなく、何らかの予見や考え方などを含んで見る姿勢
  • 「問題を発見し、それを解決する力を身に付けるためには芸術は欠かせません。(後略)」(日立製作所フェロー小泉英明博士の話より)
  • 見えるというより、脳が受け取った情報から神経活動が始まるということです。(臨床心理学者 前田基成氏)
  • 美術というのは、大切なものは何かとかを見つける視点を持たせてくれるのではないでしょうか。 (臨床心理学者 前田基成氏)
  • 人間って、そもそも論理では解決できない能力を持っていて、それを直感や感性、創造性というんでしょうけど。実はそこをうまく鍛えられると現状打破する力が発現する。
  • 直観は論理
  • 生き残る可能性を高めるために創造性が必要
  • 大人も子供も、鑑賞は視覚だけの作業ではなく、全身の感覚を働かせる運動なのです。
  • 自分の経験から見る―鑑賞は経験の再構築
  • 美術鑑賞では目の前の作品に間違った要素はありません。
  • そのすべて正しい条件の中から自分の根拠になる条件を選び取り、それらを論理的に組み立てます。
  • 美術鑑賞では一人ひとりの「私の解」が求められます。

『エグゼクティブは美術館に集う』(光村図書)奥村高明 より