宮崎・ジブリ展行ってきました。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

宮崎・ジブリ展行ってきました。

昨年、学芸員研修でご一緒した宮崎県美術館の学芸員さんから、ジブリ展を企画していると聞いて興味津々楽しみにしていたもの。宮崎まで電車で5時間。夏休みを利用して行って参りました。

宮崎県立美術館 http://www.miyazaki-archive.jp/bijutsu/

スタジオジブリ・レイアウト展特設サイト
http://www.the-miyanichi.co.jp/special/ghibli/miyazaki/

見応えがありました!

実を言えばそれほどジブリ作品が好きというわけではなく、映画館で見たのは「もののけ姫」と「千と千尋の神隠し」と、はるか昔にさかのぼって「アルプスの少女ハイジ」くらい。元来アニメ・ジブリ好きのダンナと、その影響を少なからず受けている息子が楽しんだらいいな♪くらいの気持ちでしたが、どっこい

原画の力を感じました。

モノクロあるいは色鉛筆でささっと色を付けた原画に、アニメーション以上の動きを感じました。タイトルごとに、力の入り具合までも見えてくるのが生々しくて、すっかり夢中になって観ていました。思わずダンナに「アニメより原画のほうがいいね」といってしまったものも。

SNSでの拡散を意識したフォトスポットも随所に設けられ、文字通り子どもから大人まで、ファミリーもカップルも楽しめる展覧会でした。おススメです(^^)

9月17日(月・祝)まで開催中です。

宮崎県立美術館 スタジオジブリ・レイアウト展
http://www.miyazaki-archive.jp/bijutsu/box/tokubetsu.html

 

【開催報告】福岡acad.建築の勉強会シリーズ 第2回エジプト・ローマ

こんにちは。Meet Me at Art 藤吉有里です。(Meet Me at Artは「アートを使って自分に出会う」をテーマにさまざまなサポートを展開いたします)

【開催報告】福岡acad.建築の勉強会シリーズ第2回エジプト・ローマ

当日は夏休み最後の週末でもあり、集客が思うようにいきませんでしたが、少人数ならではの、ざっくばらんで濃い勉強会となりました。

以下、備忘。


  • 原始~古代。どこからが「建築」か?ストーンヘンジ?
  • 古代エジプトでピラミッド等の建築現場で働いていたのは、奴隷ではなかった。
  • 余剰→インフラ整備→王様の権力の象徴物の制作
  • 過剰さ。どうしてそんなものをつくるのか?
  • 具象と写実。使い分け。
  • アルカイック=はじまりのもの
  • エジプト・メソポタミア→ギリシャ→エトルリア・ローマ
  • セブンワンダーズ
  • 王家の谷は撮ってはいけない。
  • 写し、真似の文化。
  • 「てっぺんに何か載せる」
  • 縦に伸びるイメージ→男性。横に広がるイメージ→女性。
  • 現代の発想で考えても仕方のないこと。
  • きれい・美しい→残そうとする。遺る。(運もある)

この日の最大の個人的トピックスは、「ネフェルティティ」に似ていると言われたこと。なんとも光栄なことです。どなたかネフェルティティ仕様の帽子(冠?)をつくってくださったら、謹んで被らせていただきます(笑)

写真はWikipediaより拝借した、ネフェルティティの胸像(ベルリンの国立博物館所蔵)。紀元前1345年に制作された彩色石灰岩彫刻ということで、このようなきれいな状態で残っているのは、すごいことだと思います(贋作の議論もあるということです)。

ともあれ、大笑いあり、マニアックな情報提供ありの、濃密な時間でした。お忙しいなかご参加くださいました皆さま、ほんとうにありがとうございました!

 

福岡acad.住まいづくりのセンスアップ建築講座「アール・ヌーヴォー」

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

福岡acad.住まいづくりのセンスアップ建築講座Ⅰ
~アール・ヌーヴォー~

写真は、ベルギー・ブリュッセルにあるオルタ邸。

メイトム宗像でスタートした、福岡acad.の建築講座シリーズ。福岡市内でも別シリーズをスタートすることになりました。

福岡市内では、第1回目の開催場所として「にしてつ住まいのギャラリー天神サロン」をお借りすることになったため、場所にちなんで「住まいづくりのセンスアップ建築講座」をテーマとして、よりカジュアルな内容を予定しています。どなたでもご参加いただけます。

第1回目のテーマは、アール・ヌーヴォー。講師を務めてくださるのは、株式会社藤井設計室・藤井昌宏氏です。


福岡acad. 住まいづくりのセンスアップ建築講座Ⅰ
~アール・ヌーヴォー~

歴史的な建築物を写真スライドを見ながら学びませんか。今回のテーマは「アール・ヌーヴォー」。世界各地の名建築をその目で見てきた、株式会社藤井設計室・藤井昌宏さんによる解説です。

講師:藤井昌宏さん‥‥木原千利建築設計事務所を経て、藤井建築設計室を開く。店舗・住宅・病院などのほか、ハウステンボス、阿蘇ファームランド、ひらかたパークなどエンターテイメント性の高い設計管理を得意としている。昨年(2017年)全体リニューアルした「かしいかえん」の設計監理は遊園地の大規模リノベーションとして、エンターテイメントビジネス業界で注目を集めている。

日時:8月29日(水)14時~2時間程度(受付13時半より)

参加費:1000円当日受付でお支払いください。

会場:にしてつ住まいのギャラリー天神サロン
福岡市中央区天神2-11-2ソラリアステージM2F


アクロス福岡おでかけナビでもご案内しています(^^)
福岡acad. 住まいづくりのセンスアップ建築講座Ⅰ~アール・ヌーヴォー~https://acros-info.jp/events/15851.html

 

 

福岡acad.建築の勉強会シリーズ 第2回エジプト・ローマ

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

福岡acad.建築の勉強会シリーズ
第2回エジプト・ローマ

写真は、ギリシア・スニオン岬のポセイドン神殿。
6月に第1回目を開催してから二カ月ほど間が空きましたが、第2回を開催いたします。

今回のテーマは、エジプト・ローマ。第1回目は建築の歴史の流れ(概要)を学びましたが、第2回目からは、時代時代にスポットを当てて行きます。そのスタートが「エジプト・ローマ」。

建築の勉強会シリーズの講師を務めてくださるのは、株式会社藤井設計室・藤井昌宏氏(https://www.facebook.com/Fujii.Design.Office/)。毎回すごいなと思うのは、藤井さんにかかると、建築の歴史が哲学的な思索に深まること。わたしは建築素人ですが、技術や知識を越えた学びの場になっていることを実感します。

アート、クラフト、アーキテクチャ、デザイン。あるいはカタチの有無にかかわらず、クリエイティブなアウトプットを目指す皆さんに、ぜひ体験していただきたい勉強会です。


【福岡acad. 建築の勉強会シリーズ 第2回 エジプト・ローマ】

<講師>株式会社藤井設計室・藤井昌宏氏
‥木原千利建築設計事務所を経て、藤井建築設計室を開く。店舗・住宅・病院などのほか、ハウステンボス、阿蘇ファームランド、ひらかたパークなどエンターテイメント性の高い設計管理を得意としている。昨年(2017年)全体リニューアルした「かしいかえん」の設計監理は遊園地の大規模リノベーションとして、エンターテイメントビジネス業界で注目を集めている。

<日時>2018年8月25日(土) 18:30 – 21:30

<会場>メイトム宗像 2階202会議室

<住所>福岡県宗像市久原180

<参加費>3000円(※学生は1500円)
※軽食と飲み物付。

<申込方法>メールで件名「8月25日メイトム建築講座」、本文に「参加者氏名」「所属(職業または学校名)」を明記のうえ、宛お申込みください。

<スケジュール>
18時~ 開場・受付開始
・お飲み物と軽食をご用意しております(参加費に含まれています)。

18時半~ スタート

・参加者自己紹介(一人30秒程度)。
・スライドショー講座スタート。
・途中休憩をはさみます。

21時~ 交流タイム
・質疑応答&意見交換会

21時半~ ・アンケート記入。自由解散。
・閉場時間まで、名刺交換等ご自由にお過ごしください。
(注意)勧誘・営業行為などは厳禁です。社会人としてのマナーを守れない方は、退場&今後の参加をお断りいたします。

21時50分 閉場


 

ユネスコの勧告。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

ユネスコの勧告。

先日受講してきた「美術館でコラージュ療法」講座は、「博物館マネジメント人材育成事業」の一環である連続講座「2025年問題に向けた高齢者の健康と博物館の役割」の第一回目でした。

最初に事務局の緒方泉先生(九州産業大学美術館 教授)が、なぜこの事業を今立ち上げたのか、その背景について解説をしてくださったのですが、その柱になるものが、ユネスコの博物館に関する勧告でした。

2015年のパリでのユネスコ勧告があり、そのもっとずっと前に、1960年のユネスコ総会で採択された勧告で、既に博物館・美術館の地域社会でのあるべき姿・果たすべき役割について述べられていました。

1960年の博物館に関するユネスコ勧告について、日本では残念ながらほとんどその内容が国の政策として取り上げられていなかったのだそうです。海外で美術館博物館を訪問した時に感じる空気と、帰国して日本国内の美術館博物館で感じる空気の差異は、ここにも理由があったのだろうと、とても腑に落ちました。

1960年から2015年。日本はこの時点で約半世紀出遅れてしまったわけではありますが、それでも美術館・博物館の地域社会で果たす役割に光が当たるときがきたことは、とても嬉しいことだと思います。

現在、東京オリンピックの開催される2020年に向けて、文化庁では「文化芸術の振興に関する基本的な方針」なるものを掲げ、文化芸術の振興を図ろうとしています。たくさんの予算が使われていますが、打ち上げ花火のようなものばかりではないことを願うばかりです。

以下、ユネスコ勧告より部分抜粋。


博物館をあらゆる人に人に開放する最も有効な方法に関する勧告(仮訳)

(1960年12月4日 第11回ユネスコ総会採択)

(Ⅱ一般原則2.)加盟各国は、各自国内の博物館が経済的又は社会的地位に関係なく、すべての人に利用されるようあらゆる適切な措置をとる。

(Ⅴ地域社会における博物館の地位と役割 13.)博物館は、各地域で知的、文化的中枢として奉仕すべきである。よって、博物館は地域社会の知的、文化的背活に貢献すべく、地域社会はこれに対し博物館の活動と発展に参画する機会が与えられるべきである。


ミュージアムとコレクションの保存活用、その多様性と社会における役割に関する勧告

(2015年11月17日採択 UNESCOの勧告)

イントロダクション

  1. 文化及び自然の多様性の保護と振興は、21世紀における主要な課題である。この観点から、ミュージアムとコレクションは、自然と人類の文化の有形無形の証拠を安全に守るための、最も重要な機関である。
  2. ミュージアムはまた、文化の伝達や、文化間の対話、学習、討議、研修の場として、教育(フォーマル、インフォーマル、及び生涯学習)や社会的団結、持続可能な発展のためにも重要な役割を担う。(後略)
  3. この勧告は加盟各国に、ミュージアムとコレクションの保護と振興の重要性を喚起し、遺産の保存と保護、文化の多様性の保護と振興、科学的知識の伝達、教育政策、生涯学習と社会の団結、また創造産業や観光経済を通して、ミュージアムとコレクションが持続可能な発展のパートナーであることを確認する。

1960年の勧告のなかで、「観覧料はできる限り無料とすべきである。」とはっきりと書かれていることに驚きました。この一文を知っている人が、日本国内の美術館・博物館関係者がどれほどいるでしょうか。

というわけで、写真は入場料無料(寄付制)のロンドン自然史博物館(^^)

 

連続講座第1回「美術館でコラージュ療法」

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。上の一見意味不明な写真は、研修のなかで作成したコラージュ。

連続講座第1回「美術館でコラージュ療法」

正確には「博物館マネジメント人材育成事業」の一環である連続講座「2025年問題に向けた高齢者の健康と博物館の役割」の第1回「美術館でコラージュ療法」

学芸員技術研修のご縁からありがたいご案内をいただき、受講してきました。

講師を務めてくださったのは、聖学院大学心理福祉学部心理福祉学科教授の藤掛明先生。個人演習あり講義ありグループありの、たいへん充実した1日となりました。

この連続講座のまんなかには「美術館・博物館が地域社会で出来ること」をもっと考え実践していくべきという思想があり、そのひとつの切り口として、高齢化社会における博物館の役割を考える機会になっています。

さてアートセラピーのひとつとしてのコラージュ療法。アートセラピーは本来、心理系のアプローチと美術系のアプローチ、二つの経路があるのに、今のところ日本では心理系のアプローチに偏っているようです。もっともっと、美術系からのアプローチを歓迎するという先生の言葉は、とても心強く響きました。

実際に体験し、講義を聴いたうえでのグループワークでは、具体的な博物館教育プログラムとしてすぐに取り組めそうな案がいくつも出てきました。

「美術館でコラージュ」を活用したワーク。Meet Me at Art でも近いうちにプログラムを発表してスタートしたいと思います。どうぞお楽しみに♪

 

至上の印象派展@九州国立博物館。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

至上の印象派展@九州国立博物館。

ビュールレ・コレクション観てきました。

ルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」とモネの「睡蓮の池、緑の反映」が見どころとして大々的に宣伝されていた今回の展覧会。会期終了までわずかであったことも理由の一つだと思いますが、平日の午前中にもかかわらず、オープン前から入場口に列ができていました。

イレーヌは確かにとってもかわいかったし、睡蓮の池も大作でしたが、わたしの目に留まったベスト3は、次の通り(^^)

  1. 「ヴェルジュの庭の隅」エドゥアール・マネ
  2. 「二人の農夫」フィンセント・ファン・ゴッホ
  3. 「果物のある静物」ジョルジュ・ブラック

ジョルジュ・ブラックの作品3つが並んでいて、その中央がいかにもキュビズムな風情の絵「バイオリニスト」。これは、いわば彼のアイコン的な作風のものらしいのですが、わたしにはその隣にある静物画のほうが印象的でした。

展覧会全体の印象としては、なにか物足りない感じでした。これは作品の内容や展示点数うんぬんではもちろんなく、わたしは普段ほとんどキャプションやパネルを読まないのでそういう補助資料の充実度合いに対するものでもなく。

帰り道、何が理由なのだろうと自分なりに考えてみましたが、おそらく展示の並びに対する違和感だったのだと思います。章立ての仕方、各部屋の構成、全体の流れ。これらを自然と腑に落ちるように組み立てるのは、やはり至難の業なのだろうなぁと、つくづく感じました。

そして、特別展の後はいつもの「九博4階 文化交流展示室」。気がつけば、九博に足を運んだのは約10ヵ月ぶりとずいぶん間が空いてしまっていたので、文化交流展示室の内容も、かなり入れ替わっていました。今回もたっぷり見て回り、大満足で帰路につきました(^^)

 

読書『建築の条件 「建築」なきあとの建築』(LIXIL出版)(第8章~終章)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『建築の条件 「建築」なきあとの建築』(LIXIL出版)(第8章~終章)

福岡acad.で建築の勉強会をはじめるにあたり、(株)藤井設計室・藤井さんご夫妻にご相談に行ったときに、「この本を読んでみて」とお借りした本のなかの1冊。後編です。前編(序章~第7章)は、こちら↓。

読書『建築の条件 「建築」なきあとの建築』(LIXIL出版)(序章~第7章)

第8章以降は、全体からみると4分の1程度のボリュームなのですが、「第8章アート」「第9章ソーシャル」そのあとの「坂本一成との対話Ⅱ」の内容が、個人的にとても興味深いものでした。

わたし自身は建築素人ですし、建築関連の本を読むことはこれまでほとんどなく、著者の坂牛卓さんの名前も、対話で登場する坂本一成さんの名前も、本書を読むまで存じ上げませんでした。本書発刊の2017年6月25日現在、坂牛卓さんは「建築家、O.F.D.A.共同主宰、東京理科大学工学部教授」、坂本一成さんは「建築家、アトリエ・アンド・アイ、東京工業大学名誉教授」の肩書をお持ちです。

以下、後編備忘。


  • モダニズムとはジャンルの自律性を高める運動だった。(中略)ポストモダニズムとは、建築においては表面的には歴史主義と見えていたが、同等にこうしたジャンル固有の論理を瓦解し、その境界を失わせる動きだったのである。(第8章アート)
  • 「空間は『空間』よりも空間を占めているものからその本質的な存在を受け取る」(Martin Heidegger, “Building Dwelling Thinking,” in David Farrell Krell ed., Martin Heidegger: Basic Writings, Routledge, 1993 (坂牛卓 訳))(第8章アート)
  • 建築とアートは次の二点をファッションと共有しているのである。一つめはインスタレーション性(場所性、ライブ性)、二つめは被服性(新体制、表層性)である。(第8章アート)
  • 窓は、場所性=ライブ性により変化するという特徴があるのは言うまでもないが、そこはまた「偶有性」という要素も含まれてくる。(第8章アート)
  • ジャン・ボードリヤールは、『芸術の陰謀-消費社会と現代アート』(塚原史訳、NTT出版、2011年、<原著>1996年)において、現代アートは、何の意味もないものをさも意味ありげに見せて、価格を高騰させるたくらみを成功させたと言い、こう述べる。(第8章アート)
  • オリジナルであることを最大の評価基準とするのではなく、むしろ「カスタマイズ」こそを価値とする現代的な在り方とも言えるし、ブランドマークを製品に入念に刻印するファッション・ブランドのブランド性とも近い。(第8章アート)
  • 社会のためのアートという形で発展してきたリレーショナル・アートが、結局は再度金儲けの道具になっているのではないかという疑問(第9章ソーシャル)
  • 「関係性」以前のアートに内在する有効性(第9章ソーシャル)
  • かつてアートとは、その形の持つ美しさ、それを生み出した造形技術によって、見る者に見る者の能力を超えた超越性を感じさせ、感動させたのである。(第9章ソーシャル)
  • 関係性のアートはそうした超越的で絶対的な価値を捨て、見る者を超えることなく見る者と同じ次元に位置している。(第9章ソーシャル)
  • アートの超越した能力や商品の使用価値は比較的わかりやすい価値である。しかるにその価値が希薄になると、その他の文脈上に位置付けられる価値を定める人が必要になる。それがキュレーターという職能なわけである。(第9章ソーシャル)
  • はたしてアートでも商品でも、その価値をキュレーターのみに任せておいてよいのだろうか。見る者や使う者自身の思考がそこに入り込まないのはいささか不自然であろうし、目利きにすべてを任せるのは危険でもある。(第9章ソーシャル)
  • 美術の価値が関係性に移行していることは、美術の世界のみから始まったというよりは、モノの価値を絶対視せずに相対化してみるようになってきたことに大きく関係する。(第9章ソーシャル)
  • 「AESTHTIC(美学的)→CULTURAL(文化的)→SOCIAL(社会的)」(第9章ソーシャル)
  • ソーシャルであることの危険(第9章ソーシャル)

『建築の条件 「建築」なきあとの建築』(LIXIL出版)(第8章~終章)より


終章のまえにある、「坂本一成との対話Ⅱ」も、とても面白かったです。

建築、アート、デザインに関わる方には、おすすめです。

 

 

読書『建築の条件 「建築」なきあとの建築』(LIXIL出版)(序章~第7章)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『建築の条件 「建築」なきあとの建築』(LIXIL出版)(序章~第7章)

福岡acad.で建築の勉強会をはじめるにあたり、(株)藤井設計室・藤井さんご夫妻にご相談に行ったときに、「この本を読んでみて」とお借りした本のなかの1冊です。

読むのに少々時間がかかりました。理由は明らかで、わたしがこのところ読んでいる本のなかでは珍しく「文体が固かった」ことと「他論文や他著からの引用が多かった」こと。つまり学術的な文章だったから、ということですね。時間はかかりましたが、内容は実に興味深く、途中で放棄することなく(笑)読了です(^^)

以下、備忘。


  • 社会が建築をつくる(序章)
  • 視覚に先鋭化していく方向と、視覚を相対化していく方向(人間に内在する問題)
  • 近代市民社会の発生は、芸術や娯楽をそれまでの貴族のたしなみから解放し、多くの人々が享受できるものへと変容させた。(第5章消費性)
  • 消費され消えていくデザイン(第5章消費性)
  • 世のなかが強い個性を敬遠する状況(第5章消費性)
  • 無個性、少衆、カタログ化は、強いひとつの個性に対立する概念である。(第5章消費性)
  • 間々田孝夫『第三の消費文化論―モダンでもポストモダンでもなく』(ミネルヴァ書房、2007年)(第5章消費性)
  • 富のある者は、富の形(スタイル)を欲するのではなく、純粋に生活の質を上げるために富を使うのである。もちろんそこにそれぞれの美的趣味はあるだろうが、それが社会的にひとつの形に昇華することは現在のところないように思う。(第6章階級性)
  • 平準化はファッション、建築に限らず、さまざまな社会現象として現れたのだが、芸術も例外ではなかった。(第6章階級制)
  • グローバルとローカルの相克は有史以来存在した。政治・経済・文化の拡張が見られるところには、程度の差こそあれ二つのベクトルが必然的に顕在化する。(第7章グローバリゼーション)
  • スロー文化(第7章グローバリゼーション)
  • この時(国民国家の境界線が溶解した時)、文化が国民国家の秩序維持のツールである必然性を失うのである。(第7章グローバリゼーション)

 

『建築の条件 「建築」なきあとの建築』(LIXIL出版)(序章~第7章)より


続き(第8章~終章)はまた次回(^^)

 

 

【開催報告】福岡acad.建築の勉強会:第1回建築の歴史

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

【開催報告】福岡acad.建築の勉強会:第1回建築の歴史

Meet Me at Art の最初の勉強会を無事開催することができました!

【福岡acad. 建築の勉強会シリーズ 第1回 建築の歴史】講師は株式会社藤井設計室・藤井昌宏氏。このブログでも何度かご紹介していた「お酒を呑みながら建築のお勉強」を、より多くの方と共有しようという試みです。お酒は飲みませんが。

初めての開催で、まずは「告知」が一番の課題であったのですが、結果として会場の部屋のサイズに程良い人数となりました。和気あいあいとした雰囲気で開催出来たと思います。

反省点は、時間配分を上手にできなかったこと。受付から終了まで、3時間半に及ぶ内容でしたが、それでも時間が足りませんでした。皆さんとの交流・意見交換の時間を30分は確保したいと思っていながら、うまく進行することができなかったのは、わたしの未熟故。次回は時間配分をもう少し考えます。

講師の藤井さん、キレッキレのトークでした。「お酒を呑みながら‥」のときからさらに内容がブラッシュアップされ、一度話を聞いたことがあるはずの面々(わたしやダンナ)も、また新たな視点を得ました。「建築の勉強会」というタイトルの枠に収まらず、建築の歴史を軸とした、哲学的な思索の場に高まっていたように思います。

今回の勉強会を受けて、わたしのなかで宿題になったのは下記のようなことでした。

  • 「なぜ」。なぜここにあるのか?なぜこんな形なのか?
  • もとの意味は分からなくなっても、形だけは残っている。
  • 「バランスの良いもの」が残っている。
  • どこが「バランスの良さ」なのか?
  • 「残そう」という意図。
  • 後世に残るものをつくれるか?
  • 何を残し伝えることができるか?
  • 余力・余剰・合理性

終了後のアンケートでは、ほとんどの方が、今後予定しているプログラムにも参加したいと意思表明してくださり、とても心強く思いました。

当日ご参加くださいました皆さま、運営面でお手伝いくださいました皆さま、ほんとうにありがとうございました!