続々・Talking about Art

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続々・Talking about Art

レポートがちょっぴり遅くなりましたが、英語で対話型美術鑑賞のオンラインセッション第3回目。『英語でアート』の宮本由紀先生による「Talking about Art in English」。第1回目第2回目の受講を通して、オンラインセッションを受講するのにも、だいぶ慣れてきました。

さて第1回目の課題は具象画、第2回目は抽象画でしたが、続く第3回目はオブジェクト=立体。毎回頭の切り替えを要求され油断できません(笑)が、それがまた、宮本先生のセッションの魅力。特に連続講座の場合には、こうした新鮮な刺激が、受講生へのさりげない配慮であることを実感しました。

実は「立体での対話型美術鑑賞をどう進めるか」は、個人的な課題でした。自分が対話型鑑賞法をナビゲートするときに、立体でもやりたいと思いつつ、進め方と効果に対する確信が持てず、ついつい絵画をテーマに選んでいました。

もちろんこれまでにも立体作品による対話型美術鑑賞のトレーニングはしてきましたが、なにかがしっくりきていなかったのです。それが、今回のセッションを通して、すっと霧が晴れました。なにがどうスッキリしたのかを言葉で説明するのは難しいのですが、おかげさまで次からは迷いなく立体での対話型美術鑑賞を実践できそうです。

この実感を通して、あらためて学び続けることの大切さを思いました。今回のオンラインセッションは、わたしにとって「通学講座で受講していたものがオンラインに変わった」のではなく、東京まで通学できずに眺めていたものが「オンライン開催に変わったことによって参加できるようになった」もの。まさに「棚からぼたもち」で、ありがたい機会をいただいています。

宮本由紀先生のアートエデュケーションは、こちらから詳細をご覧いただくことができます。「教養」「リベラルアーツ」という言葉に惹かれる方に、おススメです!

読書『三銃士』(角川文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『三銃士』(角川文庫)アレクサンドル・デュマ

「読んでいなかった名作を」シリーズ。今回はデュマの『三銃士』上・中・下巻合わせて約1080ページ。そういえば前回の名作はトルストイ『アンナ・カレーニナ』でした。1870年代ロシアから1600年代フランスへ。時間と空間を軽々と超えるのが読書の楽しみですね。

実はまったく三銃士のストーリーをまったく知らず、「三銃士と言いながら、四人の物語」だということを、読みはじめてから知りました。それも『ダルタニヤン物語』の一部であると。『ダルタニヤン物語』は全11巻なのですね。いずれ続きを読まねばなりません。

さて『三銃士』。読みながらまず思ったのは「この時代の世界史を頭に入れてから読むんだった!」ということでした。でも読みはじめてしまったもので、面白くてページをめくる手を止めることができず。時代背景がきちんと頭に入っている状態で読んだ方が、深読みできただろうなぁ、というのが反省点です。

ストーリーの面白さもさることながら、登場人物の個性が魅力的でした。主役の4人だけでなく、悪役側キャラクターのアクの強さも、漫画でも読んでいるような感じでした。そういえば、NHKで放送されたという、三谷幸喜氏が脚本脚色した「新・三銃士」の人形劇も相当面白かったようですね。

登場人物が魅力的だからこそ、その人物にまつわるストーリーをもっと読みたくなるし、きっと作者もその人物のストーリーを描き続けたくなるのだろうな、と感じました。スティーブンキングが著書『書くことについて』で「登場人物がストーリーを作ってくれる」ということを言っていたことを思い出しました。

ところでわたしは本を読むとき、自然とそのシーンがカラーで頭のなかで再生されています。今回は、全体として薄暗いというか、セピア色のメガネをかけて見たような色合いで再生されました。次に読むときは、この時代の絵画をしっかり目に焼き付けて、もう少し色鮮やかなシーンを見ながらストーリーを追うことにいたします。

よく読むメルマガ:ビジネス編

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

よく読むメルマガ:ビジネス編

自粛期間中に、美術館博物館からのメールマガジンで気に入っているものをいくつかご紹介したところ「メルマガをとったことが無かったけど、便利ですね」という声をいただきました。その時ご紹介したのは、九州国立博物館と、根津美術館と、国立民族博物館の三つ。

そうなのです。便利なのです。情報源がわかっていて、自分が気になる情報をダイレクトに届けてくれるメールマガジンのおかげで、ネット上を探し回る手間がずいぶんと省けています。メルマガのタイトルや、その中身の項目が、「自分にとっての検索性が高い」ということですね。

本日は、そんなメルマガのなかでも、ビジネス情報を集めるのにわたしがお世話になっているものをいくつかご紹介。

  • メールマガジン「ユーロトレンド」:ジェトロ 欧州ロシアCIS課
  • 福岡ABCよりお知らせ:福岡アジアビジネスセンター
  • ビジネスブックマラソン:エリエス・ブック・コンサルティング土井英司氏
  • インフォキュービック・ジャパン『The Global』:インフォキュービック・ジャパン
  • 福岡県商工会連合会からのお知らせ:福岡県商工会連合会

今回ここでご紹介したのは、あくまでも「わたしにとって、必要な情報が見やすい、集めやすい」ものです。海外の情報、国や県の施策、商工会のサービスなどの最新情報を得るのに、主に使っています。

ここでご紹介した以外にも、定期的に届くけれども、タイトルで読むか否かを判断したり、ほとんど目を通さないものもあります。たとえばジェトロが発行するものは、数も多く種類もいろいろありますので、自分の欲しい分野のものを選ぶことができます。

メルマガ文化をうまく活用しているのは、ネット黎明期から親しんでいる50代、60代の方々のように思います。使いようによっては、とても検索性の高い情報源となりますので、おススメです。

花祭窯の6月の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の6月の庭。

ずっと晴れのお天気が続いていた北部九州も、そろそろ梅雨入りです。ラジオ体操をしつつ眺める小さな庭には、緑と白がたくさん。先日読み直した色彩学の本によると、緑も白も、生命そのものの色だとか。6月は生命力があふれてくる季節なのですね。

ぽやぽやと可愛らしい。つぼみもたくさん。
うしろにピンクも隠れていました。
花桃の実です。桃になったら嬉しいですが。
あっちにもこっちにもドクダミ。
ナンテンもたくさんつぼみ。
斑入りの草は、花がなくてもアクセントに。
こちらも斑入り。

外に出ると、色とりどりの紫陽花の花が目に入りますが、花祭窯の今は、見事に緑と白。思わず深呼吸したくなる空間になっています^^

24年目スタート!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

24年目スタート!

先日、朝食中に思い出して「創業日だわ、24年目スタート」と宣言。6月は花祭窯の創業月です。あらゆる記念日を忘れるのに、創業日は忘れません。今月が創業月ということは、先月は結婚記念日があったはず。創業24年目(23周年)ということは、結婚24周年ということね…と、花祭窯の創業から逆算して結婚記念年・月を思い出しています(笑)

図らずもつい先日、久しぶりに創業地である佐賀・花祭に行くことができたのでした。メインの目的は「梅摘み」でしたが、あの場所に足を運ぶと、自然と自分たちの原点を見つめ直すことになります。いろいろなことが無意識に思い出されて、「ああ、そうだった」と、現在未来への示唆につながります。そんな場所があるのは恵まれていますね。感謝。

さて、ダンナと「よく続けてるよね」と笑いつつ、花祭窯の24年目も淡々とスタート。ここ数カ月「今年は展覧会が難しいんじゃないですか?」と、心配して声をかけてくださる方が何人もありました。気にかけてくださる方のあるありがたさが沁みます。実際、東京や海外での個展や企画展は見通しが立ちにくい状況が続いていますが、わたしたちとしては、どんな変化にも柔軟に対応できるよう準備を重ねるばかりです。

創業以来「絶対に変わらないもの」と「そうでないもの」が、年々はっきりしてくるのを感じます。ずっと変化し続けてきた23年間であり、24年目以降もずっとそうでしょう。「終点」や「絶対の正解」がないからこそ面白くて飽きない=商い…と、昨年と同じ結論にたどりつき。

ロンドンのギャラリーから「こっちももうすぐ通常営業に戻れそう!」とメールも届きました。なんだかとっても嬉しい朝です。

皆さま、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

紫陽花をたくさんいただいたので。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

紫陽花をたくさんいただいたので。

工房のなかが華やかです。一か所にたくさん生けるのも豪勢ですが、そんなに大きな花器が無いので、少しづつあっちにもこっちにも生けてみました。家のなか、どこに行っても花があるというのは、とっても贅沢ですね。

ご近所さんが丹精込めて育てておられる紫陽花。紫陽花に限らず、いつも季節の花が美しく咲いていて、お宅の前を通るたびに幸せな気持ちになります。ありがとうございます。

梅仕事2020♪

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

梅仕事2020♪

今年は梅摘みに行くのが難しいかな…とあきらめかけていましたが、緊急事態宣言が解除。5月29日に福岡県から発表された6月1日以降の行動指針で、県をまたぐ移動が可能になり、今年も無事に梅を収穫してくることができました。

梅雨入り前の快晴。年明けからずっと気になっていた佐賀・花祭へ、ようやく出かけることができました。青空の下、道路に出ている枝を切ったり、草刈りをしたり、梅を摘んだり。木も草もどんどん伸びていて、近いうちにまた足を運ばないと、手入れがまったく行き届きません。

梅は今年は数はたくさんついていませんでしたが、その代わりといいましょうか、ひとつひとつの梅はいつもより少し大きめに育っていました。収穫前に風雨の強い日がそれほど無かったので、皆つやつやときれいです。

どんどん上に伸びていく我が家の梅の木。「桜切るバカ、梅切らぬバカ」の言葉が頭に浮かび、そろそろプロにお願いして切って整えてあげた方が良いのかも、などと考えつつ。

ともあれ、あきらめかけていた梅仕事。もちろん市場には梅は出ているのですが、「自分のところの梅を採ってきて漬ける」喜びです。毎年あたりまえに行ってきたことができるありがたさを、ここでも感じました。

読書『<英国紳士>の生態学』(講談社学術文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『<英国紳士>の生態学』(講談社学術文庫)

著者の新井潤美さんは英文学・比較文学を専門とする東大大学院教授。本書は2001年に中公新書の一冊として刊行されたものが、約20年ぶりに復刊したものでした。文庫として復刊されたおかげで、原著が刊行されたときには目に留まらなかった本にも出会うことができる。ありがたいですね。

さて英国の「階級社会」を論じた本は古今いろいろと出ていますが、この本の面白さは、そのなかでも「ロウアー・ミドル・クラス」に的を絞ることで階級の全体が見えてくるところ。階級社会を生きる英国市民の生態が、愛情と可笑しみをもって描かれています。

ロウアー・ミドル・クラス。文字そのままを読むと、中流階級をさらに下級・中級・上級に分けた、その下級、というところでしょうか。英国のようなあからさまな階級意識ではなくても、あらゆる場面でロウアー・ミドル・クラス的な悲喜こもごもがあるのは、日本の社会も同じですね。思い当たること多々で、読んでいて決して他人ごとではないのでした。「身につまされる」という感じ。

この『<英国紳士>の生態学』を読むことによって、本や映画に登場する英国の背景が、もっと色鮮やかになります。シャーロック・ホームズ、ハリー・ポッター、オスカー・ワイルド、メアリー・ポピンズ、ウィニー・ザ・プー、ミスター・ビーン、『日の名残り』(カズオ・イシグロ)、『ハワーズ・エンド』(フォースター)…再度、読み返す(観返す)のが楽しみになってきました。

Something Special

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

Something Special

「Something ○○」なる言い方を最初に意識したのは、遺伝子研究で世界的にその名を知られる村上和雄氏の著書『アホは神の望み』(サンマーク出版)を読んだときのことでした。このなかで「人知を超える何か大きなものの存在」を「サムシング・グレート」と呼んでおり、「サムシング」の単語に込められる意味に思いをはせたのでした。

2008年初版の『アホは神の望み』を初めて読んだのは10年以上前のこと。以来、数年おきにふと思い立って読み返しています。何度読んでも愉快で、読み終わるたびに「頑張ろう!」と笑顔になるから不思議です。

さておき、something。それ自体「ちょっとした」「ひとかどの」というような意味で使われることもありますね。ちょっとした器をご紹介したいときに、どんな言葉を使ったらいいかしら、と考えていたところ、「サムシング・スペシャル」という言葉が頭に浮かびました。

自分にとって特別なもの、好きなものが生活空間のなかにあることの大切さを、あらためて感じたこの数か月。自分たちの仕事で出来ることを、いろいろと考えていきたいと思います。

あらためて、キャッチコピー。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

あらためて、キャッチコピー。

考え中。

藤吉憲典のキャチコピーとして、英語版で使っているのが「Connect Japanese Craftsmanship to Contemporary Artwork」。日本語にすると「伝統の継承を、生きた個性で形にする」。意訳ですが。いずれにしても肥前磁器作家としてのミッション(使命)にあたる内容です。

これはこれでもちろん大切にしつつ、今取り組んでいるのは「あなたにとって」の磁器作家・藤吉憲典(の作品)をわかりやすく伝えるキャッチコピーを生み出す作業です。というのも、この2-3か月「Stay at Home」が世界中で広がるなかで、思いがけず、お客さまやコレクターの方々にとって大切な本質を伝える言葉をたくさん見、聞き、書いてきたことに気づいたのでした。

それはシンプルに言えば「自分の過ごす空間を快適に」ということ。料理研究家の宮成なみさんの言葉を読んだり、インポートインテリア・ドーノ桐子さんのスタンスを拝見したり、ロックアウトの続いたロンドンで自宅から情報発信を続けるSladmore ContemporaryオーナーGerryとメールをやりとりしたり…。そんななかで、藤吉憲典作品の(それを所有する人にとっての)存在理由(価値)が、おのずと言語化されてきました。

美しいもの、楽しいもの、技術と情熱をかけてつくりあげたものが、それを見る人・使う人の生きる力をサポートすること。それが実用的なものであっても、無くても。毎日食卓に並ぶ器にも、日常空間を飾るアートにも、そんな力があること。

創業から20年以上、ずっと思ってきたことでありながら、ようやく言葉として並べることができそうです。材料はそろいましたから、あとは、キャチコピーとしていかに簡潔に過不足なく文字に載せるか。腕の見せ所ですね。頑張らねば!