読書『わたしたちの不完全な人生へ』(新潮クレスト・ブックス)ヴェロニク・オヴァルデ著/村松潔訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『わたしたちの不完全な人生へ』(新潮クレスト・ブックス)ヴェロニク・オヴァルデ著/村松潔訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から。パステル調の可愛らしい表紙に惹かれて手に取りました。8編の短編集で、それぞれの話の登場人物が別の話にも出てくる構成になっていたので、読みながら「あとから全体的につながるのかしら!?」と思いましたが、ストーリー的にはつながるものではありませんでした。かといってつながらなかったのが残念だったというわけでもなく、読後感には、オムニバス映画を観終わったときのような面白みが残りました。あ、あの人あのシーンに映りこんでいたよね?あの役で出てたよね?的な。

さて本書、パステル調の可愛らしい表紙に惹かれたのですが、中身はまったくパステル調ではありませんでした。身の丈サイズの日常に存在する、読み手にも大いに心あたるところのある滑稽さが、少々度を超えてシュールに映ります。ちょっと不思議な感覚で、以前に読んだ『家庭用安心坑夫』を思い出しました。まあ『家庭用安心坑夫』に比べると、ずっとマイルドでしたが。

新潮社の公式サイトで、作家の津村記久子氏が書いている本書の書評タイトルが「不完全な人々の静かな共助」とあり、なるほどそういうことかと思いました。この読後感をどんな言葉に置き換えたらよいのか、さすが作家さんですね。偶然ですが、わたしが本書と並行して読んでいた本のタイトルが『不完全主義』。こちらはジャンルとしてはビジネス書とか自己啓発本に入るのかな、と思います。「不完全」であることを受け入れることを促す空気があちらこちらから生まれているのかもしれませんね。

『わたしたちの不完全な人生へ』(新潮クレスト・ブックス)ヴェロニク・オヴァルデ著/村松潔訳