読書『見果てぬ王道』(文藝春秋)川越宗一著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『見果てぬ王道』(文藝春秋)川越宗一著

いつものカメリアステージ図書館から。川越宗一著読書4冊目は、やはり近現代史です。西洋の武力支配からの自立を目指す孫文を支え続けたという、長崎の実業家・梅屋庄吉のお話。わたしは長崎県には10代の頃に8年住んでいましたが、そのような人物がいたとは、まったく知りませんでした。いやほんとうに知らないことばかり。

政情が不安定な激動の時代にも、日本と中国を行き来してきた人がたくさんいたこと、私人として両国の橋渡しになってきていた人たちがたくさんいたことを、あらためて思いました。わたしたち自身を顧みれば、海外のギャラリーさんとのお取引をするなかで、政治の影響はどうしても受ける部分が出てきます。ここ数年は、中国渡航へのビザが必要になったり不要になったり、政治家の発言が遠因となって物流が滞ったり、その結果展覧会予定が延期になったり。そんななか、政治とは関係のないところで築かれた私的な信頼関係は、やはり大きいと感じています。上の写真は、花祭窯の近所の津屋崎浜に上がってくる、中国宋時代の青磁の陶片。

これまで読んできた川越宗一氏の著書を振り返ると、明治維新からの立憲体制、キリシタン弾圧、アイヌ、そして本著の孫文…という顔ぶれ。舞台となる時代は江戸末期から第2次世界大戦の間で、やはり著者のこの時代への執着を感じます。時代が被っているので、共通する登場人物の名前がしばしば目に留まるのですが、なかでも「大隈重信」が良く出てくるなぁ、と(笑)。どの著書のなかでも、傑物でありつつ欠点を持ちながら憎めない人物、的に描かれています。大隈重信は佐賀出身の偉人ですので、15年ほど佐賀に住んでいた身としては、なんとなく親近感。

また本書もそうですが、長崎が登場する頻度が高いように感じましたので、著者のご出身地なのかしらと調べてみましたら、1978年鹿児島県生まれ、大阪府出身、京都市在住となっていました。長崎と特別にご縁があるというわけではないのかもしれません。そういえば薩摩藩出身者のお名前もよく登場しています。わたしはずっと、自分が日本の近現代史をじゅうぶんに学んでいないことが気になっていましたが、おかげさまで少しづつ見えるものが出てきました。小説の形になっていると、入ってきやすいですね。まだまだ追っかけは続きます。

『見果てぬ王道』(文藝春秋)川越宗一著