二カ月間の隣人。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

二カ月間の隣人。

今日はインドからの留学生モナちゃんが、母国に帰る日。

約2か月前、滞在するゲストハウス=我が家から徒歩15秒(?)に到着したものの、「ガスコンロが点かず、炊飯器も使えない!このままではご飯が食べれない!」状態であると聞き、見に行ってこういう時頼りになるご近所さんたちに相談。使っていないガスコンロと炊飯器を調達したのが、モナちゃんとの出会いでした。

落ち着いてからメッセージでお礼を言ってくれたモナちゃんが「あなたの家は近いですか?」とたずねたので、「今、ゲストハウスの2階から海側の窓を開けて見てごらん!」といって、我が家の玄関先からその窓に向かって手を振ったら、大笑いして喜んでくれたのでした。

到着後数日で企画した「Potluck Party=持ち寄りパーティー」の仕組みがとっても気に入って、「ここに居る間にたくさんこれをやりたい!」と。お友だちがお友だちに声をかけ…の連続で、ステイ先で開かれた持ち寄りパーティーに参加した延べ人数は果たして何百人になったのやら(笑)赤ちゃんから人生の大先輩まで、文字通り老若男女が彼女の周りに集まった2カ月間でした。

その一方で、彼女は母国に帰るという現実。「こんなに安心して暮らすことができるなんて、夢のようだった。わたしはもうすぐ夢から覚めてしまう」という言葉が、彼女の母国の抱えているものを物語っていて、日本で津屋崎でこうして暮らしている毎日がとても恵まれたものであることをあらためて思いました。

写真は今朝の花祭窯の庭。昨日まで雨の予報はなかったのに、昨晩から今朝にかけて、しとしと雨。

 

藤吉憲典のチューリップ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典のチューリップ。

古伊万里に見られる古典文様の写しを発展させることの多い文様のなかにあって、上のチューリップ文様は藤吉憲典のオリジナル。ただ、古いものにチューリップの文様が全くなかったかというとそうではなく、肥前磁器にもいくつかの古典文様が残っています。

画質が荒いですが、下の写真、真ん中のマグカップの文様が、古典的なチューリップ文様。もともとは皿に描かれていたものを、マグカップの文様に仕上げたもので、オリエンタルな雰囲気です。

マグカップ 藤吉憲典

チューリップがオランダで大ブームになったのは17世紀。日本には江戸時代後期に渡ってきたと言われていて、時代的には肥前磁器の歴史にも重なっているので、チューリップ文様があるのも不思議ではありませんが、ヨーロッパからのオーダー品に描かれたのが最初だったのかもしれませんね。

そして、↓こちら↓が、藤吉憲典オリジナルのチューリップ文様。

藤吉憲典 チューリップ大皿

文様自体はオリジナルですが、デザイン的には古伊万里の文様のパターンをきちんと継承しているため、古典文様といってもばれないかもしれません(笑)長いこと染付文様のチューリップだけだったのですが、「赤絵も見たい!」という声に応えて、今回作ってくれました。

期待以上に良い雰囲気に仕上がりました(^^)

 

花祭窯ニュースレタースタート。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯ニュースレタースタート。

その名も「花祭窯便り」。メールマガジンでもウェブマガジンでもなく、文字通り「紙」のお手紙です。以前にも季節のお便りを作っていたことはあって、主に個人のお客さまにお買い上げ品をお届けする際に一緒に送っていましたが、このところサボっていたことを思い出しました。

もともと個人的には手紙を書くのが好きなので、「封筒と便箋と切手」を常に揃えておくようにしています。郵便局に行くたび記念切手をチェックして、雰囲気の良いものはすかさずゲット。お客さまに宛てて個展のご案内状をお送りするときは、宛名は自分の手で書くことを決めています。

そんなわけで、仕事上でもアナログな方法でのご連絡を差し上げることは少ない方ではないと思いますが、インターネットを利用することがあたりまえになり、フェイスブックやインスタグラムなどのSNSで情報発信がしやすくなってくると、ついついネット上でのお知らせに偏ってしまっていたのではないかと反省。

ニュースレター「花祭窯便り」復活第1号は、本日2018年10月10日号。定期的に決めて出さずとも、お友だちに出すように、お手紙を書きたくなった時に書香かな、と思っています。

お届けするタイミングは、お客さまへの器のお届けの際に同梱したり、お手紙でのご連絡の際に同封したりという感じです。津屋崎の花祭窯にも少しおいておこうと思いますので、ご来窯の際は、ぜひ手にとってご覧くださいませ(^^)

 

波折神社のおくんちでした。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

波折神社のおくんちでした。

毎年恒例のおくんち。波折神社を氏神様とする地域の持ち回りで、花祭窯のある新町は三年に一度回ってくる当番の年でした。が、我が家について言えば、息子が毎年「太鼓係」で行列に参加しているため、いつもの秋祭りといった感じです。

思えば息子が初めて太鼓係に入ったのは、小学校2年生の時。それまでは小学校4年生以上から参加となっていた子ども太鼓の叩き手がどんどん減ってしまい、人数集めのために、まだ小さかった息子にも声をかけていただいたのでした。

けっこうな距離を太鼓をたたきながら練り歩きます。休憩も入れながらとはいうものの、時間にして3時間以上。息子が初めて参加した年は、背丈に対して高めの位置にある太鼓を叩きながら歩いたため、翌日は首が痛いと泣いていたのを思い出します。

それでも翌年からも、おくんちの太鼓の練習のお知らせが来ると、一も二もなく嬉しそうに走って出かけるのですから、太鼓をたたくことがほんとうに楽しいのだなぁ、と思います。

今年は、大太鼓も小太鼓もたくさんの子どもが参加してくれました。ありがたいことに、いっときの「叩き手不足」の懸念はなくなりつつあるようです。こうして子どもたちが地域の主役になれる場がたくさんあることが嬉しいです。

 

太鼓の練習がはじまりました。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

太鼓の練習がはじまりました。

今週末は津屋崎の波折神社の「おくんち」です。毎年秋の楽しみのひとつ。今年も子どもたちの太鼓の練習がはじまりました。写真は昨年のようす。

太鼓をたたきながら練り歩く行列。わたしたちがここに越してきた頃は「太鼓の叩き手」を確保するのに苦労をしていましたが、ここ1~2年は参加してくれる子どもが増えてきました。

我が家から波折神社までは、歩いて3分ほど。晩ご飯が済んで練習の時間がちかづいてくると、太鼓の音が響いてきて、その音に反応して我が家の息子も走って神社に向かいます。練習開始の一日目は途切れがちだった太鼓が、どんどん滑らかになっていきます。居ながらにして練習のようす、上達のようすが伝わってきて、ワクワクします。

太鼓の練習は、先生が来てくれるわけではなく、地元のお父さんたちが教えてくれたり、ずっとやってきた中学生が小学生に教えてあげたり。こうして受け継がれていく姿を見ることができるのは、幸せなことですね。

さて今週末は本番。どうぞよいお天気になりますように。

 

連続講座第2回「美術館de園芸療法」

こんにちは。Meet Me at Art ふじゆりです。上の写真は、研修のなかでわたしが作成したクリニカルアート「サツマイモの量感画」。

連続講座第2回「美術館 de 園芸療法」

博物館マネジメント人材育成事業」の一環である連続講座「2025年問題に向けた高齢者の健康と博物館の役割」の第2回「美術館 de 園芸療法」

「美術館・博物館が地域社会で出来ること」をもっと考え実践していく、そのひとつの切り口として、高齢化社会における博物館の役割を考える機会になっています。

台風接近のため、当初予定された会場・久留米市美術館が閉館で、急遽西鉄久留米駅前にあるホテルの会議室を会場に開催された本講座。悪天候にもかかわらず、ほぼ全員集まったと聞いて、参加者の熱意を感じました。

講師の先生は、千葉大学園芸学研究科・看護学研究科の岩崎寛先生。穏やかな語り口ながら、園芸療法・環境健康学への熱い想いがとても伝わってきました。約2時間半の密度の濃い座学のあとは、園芸療法プログラムの体験実習を2種類。5時間があっという間で、非常に考えることの多い、充実した時間でした。

以下、備忘。


  • 園芸療法において最も大切なのはエビデンス(医学的根拠)であり、現在たくさんの実証研究結果を示すことができている。
  • 例えば、園芸学と看護学。学際的(二つ以上の専門分野を複合的に学び実践する)な動きの大切さ。
  • CureではなくCare。植物によるストレス緩和効果は「病気を治す」ことではなく、「体調を元の良い状態に戻す」こと。
  • 生物の本能である自然治癒力を高める。
  • ヨーロッパ(イギリス・北欧)ではノーマライゼーションの概念があり、園芸療法は福祉政策や社会活動のなかで当然に実践され、発展してきた。
  • 医療・教育・福祉の総合化がイメージされ、生活環境の質の向上、福祉の社会的基盤整備が行われることが望ましい。
  • 植物による療法は、緩やかで「継続性」「反復性」や、幅広い層の人に応用可能な点に利点がある。
  • 誰が対象なのか、その人の状態によって、「何を使って何をすべきか」と、その効果は異なる。
  • 「見る庭」から「使う庭」へ。

1日5分緑に触れる時間があるだけで、ストレスの緩和に大きな効果があることが、たくさん実証されていました。これを岩崎先生は、「森林浴ならぬ、公園浴」とおっしゃっています。特別な場所に行かなくても、緑のある場所ならいつでもその効果を得ることができるようです。

皆さんも、1日5分の公園浴習慣をぜひスタートしませんか(^^)

 

秋分でした。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

昨日は秋分でした。

写真は、花祭窯に咲いたヒガンバナ。この夏は猛暑といわれましたが、どんな夏であろうとも、この季節になるときちんと花開くヒガンバナ。毎年、植物ってえらいなぁと思うことのひとつです。

秋分は、二十四節気のひとつ。お彼岸の中日。満月、お月見、お団子、おはぎ、秋の七草…。秋分から連想される旬のモノコトは数多く、やきものの文様の題材が多い季節でもあります。

秋分はこれから先、冬至までの三カ月のスタートの日でもあります。そんな昨晩は、これからライフワークとして進めていくことについて、一緒に歩んでいきたい方々とお食事しながら語らう時間を持つことができました。

これからしっかり触角を伸ばしていきます。

 

Meet Me at コラージュ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

Meet Me at コラージュ。

コラージュを使ったお試し講座を実施しました。「Meet Me at コラージュ」というのはわたしの造語で、「コラージュ作品をつくることで自分の内側と向き合う」というほどの意味です。

コラージュは、誰でも気軽にできるアートの表現技法のひとつです。絵が下手でも、手先が不器用でも関係なく楽しめるのが、コラージュ制作の良いところ。雑誌やカタログやチラシなど、不要な印刷物のなかから自分の気分にフィットするビジュアルイメージを切り抜いて好き好きに貼っていくだけで、その時の自分を表す作品が出来上がります。

「なんだか、すごくすっきりした」

今回のご参加者の感想の一言が、コラージュという表現によって内側を解放した効果をストレートに物語っていました。

一番の魅力は、そうして出来上がった自分の作品に向き合うことで、自分自身の状態が確認できたり、課題を整理できたりという、副次的な効果が得られることです。また一緒に作業をする仲間から感想を聞くことによって、自分では気づかなかった「作品の意味」が広がっていきます。

学芸員研修のなかでコラージュの可能性を感じて以来、そんなコラージュの魅力をどう伝えていくかをずっと考えてきました。今回のお試し講座では、解説や解釈を広げていくタイミングで、どのようにアプローチするのがより望ましいか、参加者の方から具体的な助言をいただくことができました。

ご協力くださったお友だちに、心より感謝です!

 

 

津屋崎の面白さ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎の面白さ。

このところ、津屋崎って面白いなぁ、と、あらためて思います。

そのひとつが「英語でのコミュニケーションの頻度」。

福岡県の中心地といえば、博多や天神、すなわち福岡市内であり、津屋崎のある福津市はいわば周辺部にあるローカルな町のひとつ。ところが、津屋崎に暮らしていると、「もともと日本語が母国語ではない人」や「英語で会話ができる人」に出会う確率が少なくなく、必然的に英語で会話をする機会が発生しやすいのです。

都市部では珍しくないことかもしれませんが、これが津屋崎であるというのが面白さ。子どもの通っている学校を見ても、保護者の方がバイリンガルあるいは3か国語以上話されるという方が何人もいらっしゃいます。

日本語以外の言語で会話しようと思うと、英語ネイティブでなくても「共通語」として使われるのはやはり英語。かくして自分自身はカタコト英語ではあっても、その気さえあれば「日常的に英語で話す機会がある」という場所であると気づくと、この環境はとても恵まれていると思うのです。

 

並べるということ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

並べるということ。

6年目となった中学生職場体験も本日が最終日。今年も「陳列棚の掃除と器並べ」をお願いしました。器を一度すべて別の場所におろし、棚を拭き上げ、器も拭き上げて、また棚に戻してもらいます。

ワレモノなので、最初に扱い方の注意をします。両手で扱う、低い位置で扱う、など。「拭く」作業では緊張している中学生ですが、棚も器もきれいになって、「並べる」作業になると嬉々とした表情になります。

たかが「並べる」、されど「並べる」なのだと思います。色も形も様々な器を、制約無しに「思うように並べていいよ」と伝えると、ただ折り目正しく並べるという以上に、創造性を働かせた並べ方をしてくれるのが、見ていて楽しいです。

染付の器 藤吉憲典

藤吉憲典 干支の酉

藤吉憲典 カブトガニ

単調になりそうな仕事も、思い入れようで楽しくなる。そんな仕事ぶりを見せてもらいました(^^)